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【読書】投資をするなら読むべき名著、チャールズ・エリス「敗者のゲーム」を読んだ感想。

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投資 ビジネス・資格・投資
この記事は約8分で読めます。

 

 こんにちは。どら猫です。本記事では、投資家の間では著名な方である、チャールズ・エリスの「敗者のゲーム」を読みましたので、感想や思ったことを書きますね。


 これは、私が今まで沢山読んできた投資に関係する本の中で上位3位に入るお勧めの本です。ただ、ロングセラーの本なので、書店等ではあまり見かけることはないかもしれません。


 対象としては以下の方に参考になるかもしれません。なお、本書は投資について、株が良いとか、この銘柄が良いとか等のテクニック的なことは触れていません。

 

  1. 投資で収益を上げることは本当に可能なの?
  2. どのような投資がベストなのか?
  3. 長期投資のメリットを具体的に知りたい。


 
 投資をする際の考え方、留意点、投資の最終的な目的等、本書で書かれていることは短期的なトレンド等に左右されず、長く使える先人の知恵という感じです。


 ちなみに、著者は長期投資(インデックス投資)を勧めていますが、明確な理由を丁寧に積み上げてその理由を書いてくれています。


 なので、短期で稼ぐことが目的の方には本書はお勧めできないかもしれませんが、逆に短期でやろうとする場合のリスクや注意すべき点も、この本から学べるかもしれません。


 この本は、私が株式投資を始める理由の一つになった本です。そして、この本で書かれていることを常に心にとめながら投資を続けています。現在も投資を続けていられるのもこの本に拠るところが大きいです。


どらねこ
どらねこ

投資を始めるきっかけになった本だにゃ。

同僚
同僚

名著だよね。でも意外に知っている人は少ない。

上司
上司

「敗者のゲーム」ってタイトルが気になるわね。

 

  1. 著作名:敗者のゲーム
  2. 著者 :チャールズ・エリス
  3. 出版社:日本経済新聞社
  4. 発行日:2015年1月24日(初版発行)

 

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この本を読んだ理由


 
 大学院で学習したときにファイナンスの本を良く読んでいたのですが、その時にたまたま見つけたのがきっかけです。著者の名前も知りませんでした。。


 ちょうど論文作成のためにM&Aや企業価値評価の書籍を探していたので、ファイナンス系の書籍として同じ棚にあったので見つけました。


 なお、当時は株式投資は個人では始めておらず、会社で仕事として株式や為替、デリバティブをやっていました。なので投資に対する興味はありましたけどね。


 ただ、投資は損をすることもあるので個人ではどうしようかな?とも思っていました。なかなか始める事は難しいですよね。私は小心者なので特にそうでした。


 なので、この本のタイトルである「敗者のゲーム」を見たときに最初に連想したのは、「投資は難しくて失敗率が高いからやめるべき」、という内容の本だと思ったのですね。


 小心者の私としては、ダメな理由を見つけて、やっぱりやらない自分が正しいと思うのも良いかも、と思って読んでみたのですが、後述するように実際はそんな内容ではなく、非常に示唆のある歴史的な名著でした。

 
 なお、著者の方の経歴は以下の通りです。絵に書いたようなスーパーエリートですね。しかし本書を読んでいると、優しい老紳士が自分の経験や知恵を丁寧に孫に説明しているような印象を受けます。


【著者略歴】チャールズ・エリス

 1937年生まれ。イェール大学卒業後、ハーバードビジネススクールで最優秀のMBA、ニューヨーク大学でPhD取得。ロックフェラー基金、ドナルドソン・ラフキン・ジェンレットを経て、1972年グリニッジ・アソシエイトを設立。

 以後、30年にわたり代表パートナーとして、投資顧問会社や投資銀行などの経営・マーケティング戦略に関する調査、コンサルティングに腕を振るう。

 2001年6月代表パートナーを退任。現在、ホワイトヘッド財団理事長。この間、イェール大学基金投資委員会委員長、全米公認証券アナリスト協会会長、バンガード取締役などを歴任。


引用元:「敗者のゲーム」日本経済新聞社

 

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本の内容と感想


 FP・証券

 
 まず、本書のタイトルである「敗者のゲーム」ですが、これは「投資はゼロサムゲームだからやめておけ」とネガティブなことを言っているわけではありません(笑)。

 
 投資においては他者より高利益を出して「勝者を目指すこと」は現実的ではなく、「敗者にならないことを目指すこと」の方が成功する、ということを伝えたいのですね。

 より具体的な説明として、著者は以下のように書いています。
 

 エキスパートたちのテニスでは、最終結果は勝者の行動によって決まる。プロのテニスプレーヤーは、長いエキサイティングなラリーの間、強力で正確なショットを放ち、どちらかが敵の手の届かない所へボールを打ちこんで勝利をつかむ。こうした一流のプレーヤーはめったにミスをおかさない。

 アマチュアのテニスは、これと全く異なっている。素晴らしいショットとか、長いエキサイティングなラリーとか、奇跡的なリカバリーショットといったものはめったに見られないし、およそそれとはほど遠い。


 

 アマチュア・プレーヤーは敵をやっつけることなどめったにできず、いつも自ら墓穴を掘って終わることになる。この種のテニスの得点は、ほとんど相手のミスによるものである。

 試合に勝つのは、相手の失点が多いからだ。とすれば、私たちはミラクル・ショットを決めようとするのではなく、とにかくミスの少ない、確実なテニスをすることを目指すべきである。

 もう一つの例としてゴルフがある。トミー・アーマーは「ベスト・ゴルフをする方法」の中でこう言っている。「勝つための最善の方法は、ミス・ショットをできるだけ少なくすることである。」



 昔はインサイダー情報があったり、投資情報をいち早く取得できる環境にあった人達や組織が有利で勝者になれました。


 ただ、現在は優秀なファンド等の機関投資家も増えていて、市場の大多数を占めている状態です。その中で「勝つこと」は大変なのですよね。


 そんな現在の環境では、いかにミス(損失)を減らして投資をすることが大事かということを伝えたいために、「敗者のゲーム」というタイトルになったのだと思います。まあ、見たときは全然そうは思いませんでしたが。。


 そして、このミスを減らせば投資は上手くいくという考えは、私には非常にフィットしたのですね。攻めるよりも守りの方が楽そうですよね(笑)。


 そして、本書を読み進めるとわかるのですが、投資において「ミスをしない」ことは決して他者よりも優秀なな能力を必要とされているわけではなく、普通の人(私を含めて)できることなのです。  


なお、印象に残った点をいくつか抜粋しておきますね。

 「市場に勝つ」ことを目指して「敗者のゲーム」に参加すれば、負けはほぼ見えている。だからといって、悲観することはない。勝つ方法はある。

 長期投資の明確な目的を設定し、その目的を実現するために合理的かつ現実的な投資政策を選択したうえで、その政策を自己規律を持って、忍耐強く、しっかり貫いていくことである。

 これが、本書で伝えたいことのすべてである。自らの資産運用の目的を再確認し、真に勝つための「ゲーム」を遂行することだ。


 
 まさに、著者の伝えたいことが表現されています。イェール大学基金での運用実績もあるので、説得力がありますね。


 そして、以下も参考になります。項目だけみると、普通のことでしょ、と思いますが、それぞれについて本当に論理的に分かり易く説明してくれています。


優れた投資家が守ってきた投資の基本原則
引用:チャールズ・エリス「敗者のゲーム」
  • 投資の最大の課題は、株式・債権・不動産などへの長期的な資産配分の決定。
  • 長期的な資産配分の決定に際し、考慮すべき点は、成長性・安全性・毎年の収入などに加え、最も大事なのは、いつ資金が必要になるか、という点である。
  • 資産ごとにも、資産種類ごとにも幅広く分散すること。暴落は突然起きる。
  • 決めたことを一貫して忍耐強く実行する。

 

大事にゃ。

 

 そして、著者の勧める長期投資についてですね。「天気」は短期投資、「気候」は長期投資ですかね、どちらが予測・判断しやすいかは一目瞭然ですね。

 

 毎日の「天気」と「気候」は別物である。「天気」は短期的な現象、「気候」は長期的な現象をさす。この違いは重要である。

 気候の良い場所に住みたいと思った場合、先週の天気だけを参考にしても無意味である。同様に、長期的投資を行う際に、一時的なマーケットの上下に振り回されてはならないのである。

 日々のマーケットの動向は「気候」にとっての日々の「天気」と同様、それほど重要ではない。


 
 長期投資が、短期投資に比べて難易度が低く、「ミスを減らせる」ということが良く理解できる説明ですね。例えが非常に分かり易いです。 

 長期投資家にとっては、企業収益と配当の要素が決定的に重要である。他方、市場価格に注目する短期の投機家にとっては、日々ないし月々の投資心理の変化や、人々がいくらまで買おうとしているかといったことに、すべてがかかってくる。

 天気と同様、運用においても、長期では驚くようなことはないが、短期では驚きの連続なのだ。



 この本は、読んで本当に良かったと思える本でした。投資を失敗しないための知識を学ぶ本として非常に良い本ですし、今でも読み返してます。


 今振り返ると、投資も儲けようとするのではなく、損をせず長期で収益を上げていくという考えをこの本で学んだことが大きいですね。

 
 なお、少し補足しますが、投信等を運用している機関投資家は一定期間内でパフォーマンスを上げることが求められているので、本当の意味での長期投資は難しい状況におかれています。


 お客様から資産を預かっているので、決算時のパフォーマンス等を常に意識する必要があるので、売りたくない優良資産でも売却しなければならない時があるのですよね。


 逆に、私のような個人投資は自分のために投資をしているので、いつまでも資産を保有でき配当や利息を得ることができます。なので、個人投資はこの「時間」という有利な条件を活用すべきだと思います。


 本記事で、ご紹介した本はこちらです。



 本記事では、投資の名著である、チャールズ・エリスの「敗者のゲーム」について感想を書きました。


 投資はなんとなく損をしそう。はじめるのはちょっと、、という方も本書を読むと投資に対する考えが少し変わるかもしれません。


 また、すでに投資をされている方も、この本で得ることは非常に大きいと思います。わずか千円ちょっとで、この知恵が学べるのは本の良さですね。

 
 本記事を読んで頂いた方に何か参考になれば幸いです。読んで頂いてありがとうございました。